【もっと早く知りたかった!】「銀行は、社長のどこを見ているのか?」ブックレビュー

社長が得するブックレビュー

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事業を営み続けるために避けて通れないのが金融機関とのお付き合いです。
経営状態が良いときは、更に投資をするために、悪くなったときは事業の継続のための資金繰りを安定させるために、銀行に相談を持ちかけることはたくさんあるはず。
この本は、金融機関が融資先をどのような視点で見ているかを紹介してくれています。
どのように銀行に情報提供すればよいか、どのようなふるまいが銀行に評価されやすくなるか、知っているといないとでは大きな違いが出ることがわかります。

どんな内容?

事業会社で財務担当役員としてM&A、買収先企業の再検討の経験を持ち、IPOも実現した経営コンサルタントの藤原勝法氏が、企業の様々な活動・局面でどのように情報提供すべきかなどのノウハウを、相手先である銀行員の立場や背景から、「どのような情報がほしいのか、隠してほしくないのか」「担当の銀行員自身はサラリーマンとして、どのようなことをしてもらえば嬉しいのか、安心するのか」などを的確に教示する内容です。

本書は下記7章から構成されています。

  • 第1章:もっと銀行に通わないとソンですよ!
  • 第2章:銀行とのつきあいを深める極意
  • 第3章:ポイントはここ!中小企業の決算書
  • 第4章:危機に陥らないための経営計画とは
  • 第5章:正しい「資金繰り表」を作る
  • 第6章:黒字倒産を避ける「資金管理」のコツ
  • 第7章:「返済猶予交渉」という最終手段

どんな社長におすすめ?

開業したばかりの社長や、開業2~3年めの創業から年数の経っていない企業の社長におすすめです。銀行との付き合いは長期にわたる信頼関係を築くことで、融資の交渉を有利に進めることが出来、資金調達を自分の希望した規模感で実現できれば成長スピードを加速させたり、事業をスケールアップできます。
一方で、既に業績が悪化していて資金繰りが苦しくなってきた段階の企業の方がこれを読んでも、リスケと言われる返済猶予を交渉するノウハウや、そのために開催するバンクミーティングの手順など、いくつかしか役立つ情報が得られないからです。
開業当初から先手を打って金融機関への印象を良くしていくことが重要であることが強調されています。

この本のおすすめポイント

(1)「いくつの銀行と取引をすればよいのか、メインバンクとその他のシェアバランス」「預貸率・実効金利率」「返済猶予依頼通知書の文例、書き方のポイント」など、ネットにもあまり掲載がなく、独自性の高い情報が提供されている。このように、専門家からの情報として提供されないと、自力ではこの情報にたどり着くのは難しいと思われます。

(2)銀行にとって自社はお客様であること、銀行も企業の一つであり、支店長や課長、現場担当者などのラインが当然あり、取引先と付き合うのと同様に接触頻度を高めることで、お互いに理解が深まって、踏み込んだ会話ができるようになることなどを紹介しています。読み進めることで、銀行に対する心理的ハードルが下がることになると思います。

(3)日次資金繰り表や月次決算、設備投資計画、事業計画をきちんと遂行するための定例会議のすすめなど、企業運営のためのスタンダードなノウハウも噛み砕いて説明されている。従業員5人ぐらいの小規模事業者や、創業まもないベンチャー企業にとっては「銀行はこのような、ごく普通の管理をきちんとやっている企業と付き合いたいのだな」という感触を得ることが出来ます。

また、この本で述べられている「金融機関に高い評価を得やすい事業計画の立て方」は、補助金申請の際の計画立案にも活用が可能です。(とは言え、実際の補助金の計画立案はもっと精密にしなければいけないですが。。。)

また、企業経営の中ではなるべく直面したくない返済猶予の申し入れについての詳細な解説についても、そのような局面に至った時にどのように進めていくべきか、一度知っておくことで、いざという時の心構えができてくると思います

記載されている内容は特に高度な専門知識がなくとも読み進められる平易な文体で、例えば年次決算の方法や、決裁権限規定の設定方法など、既に知っている内容であればパートごと読み飛ばすなりして、短時間で読了が可能です。筆者の場合、2時間半ほどで読めました。ただ、先述の通りこの本を読まないと知り得ない有益な情報があるため、ぜひともご一読されることをオススメします。

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銀行は、社長のどこを見ているのか?

発売日 ‏ : ‎ 2021/7/22
単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 240ページ
価格:1,694円(税込)

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